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こんにちは。
冬場の乾燥による乳幼児期の肌荒れの治し方について、前回の記事(【冬場の赤ちゃん】乾燥肌・乾燥性湿疹を治すには 〜Vol.2〜)では、赤ちゃんの皮膚についての基礎知識をお伝えしました。
今回は、正しい洗い方と保湿の仕方をお伝えしていきます。
目次
赤ちゃんのスキンケアポイントは、きれいにすること、保湿をすること
乾燥しがちな赤ちゃんのスキンケアのポイントは、なんといっても清潔さと、保湿された状態を長時間保つことに尽きます。
しかし元々代謝がよく汗っかきの赤ちゃんですので、冬場でもあせもが出る場合もあります。その場合は症状の出ている場所だけは洗浄のみにするなど、ケアの仕方を使い分けてくださいね。
基本的に冬場の乳幼児の肌は乾燥していますので、乾燥を防ぐためには大人のスキンケア同様かそれ以上に、正しい洗い方・保湿の仕方を守らないと効果がでません。
ここでは、小児皮膚科医師(※参考文献参照)のすすめる正しい洗い方、保湿の仕方をお伝えしていきます。
赤ちゃんのお肌 正しい洗い方
すぐにシャワーができない場合
皮膚の表面に付着した汗やホコリ、食物汚れなどは刺激やアレルゲンとなるので、なるべく早めに取り除くようにします。一番良いのはぬるめのお湯で洗い流すこと(=シャワーや入浴)ですが、すぐに出来ない場合は汚れた部分のみ、こすらないように洗い流しましょう。具体的には、水分をたっぷり含ませたティッシュや綿花で、洗い流すように汚れを落とします。水気の少ないウエットティッシュや乾いたハンカチなどで拭き取ると、皮膚をこすってしまうことになり皮膚炎が悪化する場合がありますので、なるべく控えましょう。
シャワー・入浴時の洗い方
- 固形石鹸を泡立てネットなどを使ってたっぷりと泡立てて、こすらず、手で優しく撫でるように洗います。ガーゼやスポンジ、ナイロンタオルなどでこすることは皮膚のバリア機能を低下させるため、これらのものは使わず、手で洗いましょう。なお、液体石鹸を使う場合は泡で出てくるタイプが適しています。液体のボディソープを泡立てずに塗ることは刺激が強すぎるため絶対に避けましょう。また、石鹸を使用するのは1日1回で十分です。
- もし湿疹があったり、湿疹の傷の表面から浸出液(傷から出る、透明〜黄色っぽい液体)がでていても、石鹸の泡をつけてそっと洗えば、あまりしみたりせずに最近の数も減らせますので、より清潔に保つことが出来ます。
- 洗った後は38度以下のぬるめのお湯で、シャワーの水圧を弱めにしてしっかりとすすぎましょう。
- 湯船に浸かる場合は新生児は38度、乳幼児では38〜40度くらいの温度にし、湯船につかる時間は5分以内にとどめましょう。長湯をすると皮脂膜がお湯の中に溶け出してしまい、保湿機能が奪われてしまうからです。
- 入浴後は柔らかいタオルで、水気を吸い取るように押し拭きします。決してこすらないようにしましょう。
赤ちゃんのお肌 正しい保湿の仕方
【保湿のタイミング】
石鹸で洗った後は皮脂が流れ落ち、急激に乾燥します。入浴直後の角質層は入浴前の2倍近い水分が含まれて潤っていますが、角質層の水分量は入浴後約20分で入浴前と同じ状態まで低下し、さらに60分後には皮脂が流れ落ちてしまったことにより水分が蒸散して奪われるため、入浴前より乾燥した状態になってしまいます。
そのため、角質層にたっぷりと水分が蓄えられている入浴直後(入浴後15分以内)に保湿剤を塗り、水分の蒸発を防ぐようにしましょう。
また、入浴後だけでなく、食べ物や鼻水を拭ったり、お尻などを部分的に洗ったりふいたりした後や、空気の乾燥する冬場に外出先から帰宅した時にも、保湿剤をしっかり塗るようにしましょう。特にかさつきがひどい部分は、こまめに保湿をしましょう。
【保湿剤の塗り方】
塗り方は、たっぷり、こすらずにやさしく肌にのせて延ばすように塗ります。目安としては、保湿剤を塗った後の肌がテカるくらいがちょうど良いです。そんなにたっぷり塗るの?と驚くかもしれませんが、ティッシュが肌に張り付くくらいが適量だと考えてください。
【保湿剤の選び方】
保湿剤の種類も色々ありますが、乳児用で添加物の入っていないものや、アレルギーテスト済みの表示のあるものにしましょう。夏はさっぱりとしたローションタイプ、冬はこっくりとしたクリームタイプなど、季節によって使い分けたり、皮膚の中でも乾燥しがちな顔や手足のみクリームタイプにするなど、部位によって使い分けるのもおすすめです。
保湿剤を塗ってもなかなか良くならない場合
もし保湿剤を塗っているけれどなかなか良くならないという場合、様々な原因が考えられます。
- 塗る量が足りていない→上述の方法で、ティッシュが張り付くくらい多めに塗ってみましょう。
- 肌を清潔にした状態で塗っていない→清潔な状態で塗らないと効果は期待できません。すぐに入浴できない場合は水でぬらしたティッシュなどでやさしく洗い流してから保湿剤を塗りましょう。なお、水気の少ないウェットティッシュは状態を悪化させる可能性がありますので、極力使用を控えましょう。また、入浴時の洗浄方法を見直してみましょう。
- 洗い過ぎ→スポンジやタオルを使って洗っていませんか?皮膚のバリア機能を低下させないためにも、たっぷりの泡で、手で洗うようにしましょう。
- 入浴時間が長過ぎる→長湯は保湿機能を奪ってしまいます。5分以内にとどめましょう。
- 赤ちゃんの肌に合っていない→他のテクスチャーのものを使ってみたり(例:ローションタイプを使用していたらクリームタイプを使ってみるなど)、別の製品も試してみましょう。
それでも改善しない場合は、やはり医師に相談してみるのが一番です。
まとめ
ここまで、冬場の乾燥の原因(乳幼児期の皮膚のメカニズム)と、その治し方についてお伝えしてきました。
赤ちゃんのスキンケアについては、近年の様々な研究によって昔とは異なる見解になっていることが少なくありません。また、情報過多な現代において「一体、どの情報を信じればいいのかわからない。。」と悩んでしまうこともありますが、単純に情報を鵜呑みにして振り回されるのではなく、最新の皮膚の基礎知識に基づいた正しいケアを続けることが、乾燥による肌トラブルを改善する一番の近道です。
是非、正しい方法で基本のケアを続けてみてくださいね。
それでは、今回もお読みくださり、ありがとうございました。
※参考文献:『育児通信』 150号 平成30年発行 ”特集 赤ちゃんの皮膚とスキンケア”(神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 兼 横浜市立大学皮膚科 臨床教授 馬場直子)